パソコンに飲み物をこぼしたときに最初にすることは、電源を切ってACアダプターを抜くことです。
突然のことで、作業中の書類を先に保存したほうがよいのか、乾かせばまた使えるのか、迷う方も多いと思います。
その後の対応は、こぼれた場所や量、飲み物の種類によって変わります。表面を少し濡らしただけなら拭き取りで済むこともありますが、キーのすき間から中に入った場合は点検が必要です。
ここでは、こぼした直後の5分でやることから、修理に出すときの準備まで、順番に見ていきます。
最初の5分は、電源を切って水分を外に出すことに使います
やることは、電源を切る、ACアダプターを抜く、水分を外に出す、の3つです。次の順で進めてください。
- 電源ボタンを長押しして、画面とランプがすべて消えるまで待ちます。保存やシャットダウンの操作はしなくて構いません。
- ACアダプターを本体から抜きます。コンセントのまわりが濡れているときは、濡れた手で触らないでください。
- USBメモリやマウスなど、つないでいる機器をすべて外します。
- バッテリーを外せる機種は、バッテリーも外します。ネジを外さないと開かない機種は、無理に開けないでください。
- 表面の水分を、乾いたタオルや布で押さえるようにして吸い取ります。
- ノートパソコンは画面を開いたまま、キーボード側を下にして、逆さの山形(テントのような形)に置きます。
電源ボタンを短く押しただけでは、スリープになるだけの機種があります。電源が切れるまで数秒かかることもあるため、ランプが消えたところまで確認してください。
ボタンを押しても反応しない場合は、ACアダプターを抜き、外せるならバッテリーを外します。バッテリーが外せない機種は、それ以上は触らずに、そのまま修理に出しましょう。
保存より電源を先にするのは、ショートを防ぐためです
作業中の書類が消えるのは困りますが、電源を切るほうを優先してください。
問題になるのは、水そのものよりも、濡れた部分に電気が流れることです。パソコンの中の基板には、細い配線がすき間なく並んでいます。水がかかると、本来はつながっていない場所どうしが、水を通してつながってしまいます。
これを「ショート」といい、電気が流れている状態で起きると、部品が焼けてしまうことがあります。電源が切れていれば、この故障は起こりません。書類は作り直せても、焼けた部品は交換が必要です。
ノートパソコンは、画面が消えていても、中の電気が完全に止まっているとは限りません。バッテリーがつながっている間は、電源ボタンを受け付ける回路などに電気が来ています。外せる機種でバッテリーを外しておくのは、そのためです。
逆さの山形に置くのにも理由があります。多くのノートパソコンは、キーボードのすぐ下に、パソコンの中心となる基板「マザーボード」がある作りです。平らに置いたままだと、キーのすき間から入った水がマザーボードのほうへ流れてしまいます。
逆さにしておけば、水はキーボードの表側へ戻りやすくなります。水を出そうとして本体を振ると、かえって奥へ広がるので避けてください。
電源の入れ直しや、ドライヤー・お米で乾かすのは避けましょう
応急処置が終わると、早く乾かしたい、動くか確かめたいと思うものです。ただ、次のような行動は、かえって傷みを広げる場合があります。
- 動作を確かめるために電源を入れる
- 充電しながら様子を見る
- ドライヤーの温風で乾かす
- お米の中に埋めて乾かす
- 本体を振ったり、キーボードを強くたたいたりする
乾いて見えても、電源は入れないでください
表面が乾いて見えても、中にはまだ水分が残っていることがあります。そこに電気を流すと、最初に防いだショートが起きる可能性があります。充電しながら様子を見るのも、同じ理由で避けてください。
ドライヤーやお米では、中の水分は取れません
ドライヤーの温風は、熱で部品を傷めるおそれがあります。風で水分が奥に押し込まれることもあります。冷風であっても、水を奥へ動かしてしまう点は同じです。
お米に埋めると乾くという話もありますが、お米が吸い取れるのは表面に触れている水分だけです。基板の裏や部品の下に入り込んだ水には届きません。細かい粉やでんぷんがすき間に入ることもあるため、パソコンを乾かす方法としては向いていません。
乾くのを待つ間も、中に残った水分や汚れは基板を傷め続けます。何日も置いておくより、早めに点検に出したほうが、修理の範囲を小さくできる可能性があります。
こぼした場所と飲み物の種類で、傷み方が変わります
修理が必要かどうか、どこまで直す必要があるかは、どこにこぼれたかと、何をこぼしたかによって変わります。
キーボードの上にこぼした場合
ノートパソコンのキーボードにこぼすと、少しの量でもキーのすき間から中に入ります。一部のキーが効かない、押していない文字が入力されるといった症状は、キーボードの裏の配線が濡れているときに出やすいものです。
キーボードだけの故障であれば、交換で対応できます。交換については、ノートパソコンのキーボード・バッテリー交換をご覧ください。ただし、効かないキーがあるのは、水がキーボードの下まで届いたしるしでもあります。その下のマザーボードが無事かどうかは、分解してみないと分かりません。
画面やデスクトップパソコンにこぼした場合
画面の表面を少し濡らした程度なら、拭き取れば済むことがほとんどです。画面のふちから中に入ると、液晶の内側に水が回り、シミのような跡が残ることがあります。この跡は拭いても消えないため、液晶パネルの交換が必要です。
デスクトップパソコンの外付けキーボードにこぼした場合は、キーボードを外せば本体は無事なことが多く、キーボードの買い替えで済む場合があります。本体の上や通気口の近くにこぼした場合は、電源を切って電源コードを抜き、点検に出してください。
糖分や塩分を含む飲み物は、早めの対応が必要です
水やお茶は比較的軽く済むことが多いものの、乾いたあとに中で腐食が進むことがあります。腐食とは、残った成分と湿気によって、金属の部分が少しずつさびていくことです。
コーヒーやジュース、スポーツドリンクは、糖分や塩分が残ってベタつき、腐食も早く進みます。牛乳やカフェオレは脂肪分も残るため、あとからにおいが出る場合もあるので注意が必要です。こうした飲み物をこぼしたときは、早めに分解して洗浄することで、修理の範囲を抑えられる場合があります。
乾いて動いていても、点検を受けておくと安心です
少しの水をこぼしただけで、そのあとも普通に動いている場合は、点検に出すか迷うところです。表面にかかっただけなら、そのまま使えることもあります。ただ、中まで入ったかどうかは、外から見ても分かりません。
点検をおすすめするのは、乾いたあとに故障することがあるためです。前の節で説明した腐食はすぐには症状が出ず、数日から数週間たってから、急に電源が入らなくなる場合があります。
あとから出やすい症状には、次のようなものがあります。
- 電源が入ったり入らなかったりする
- 充電のランプがつかない、充電できない
- 押していないキーが入力される
- 画面がちらつく、線が入る
こぼしたことを忘れたころに症状が出るため、別の故障と思われることもあります。心当たりがある場合は、修理を依頼するときに伝えてください。
次のどれかに当てはまる場合は、今は動いていても、点検に出すことをおすすめします。
- キーのすき間に吸い込まれるのを見た
- 本体の下や側面から水が出てきた
- こぼしたあと、一度でも動きがおかしくなった
- コーヒーやジュースなど、糖分を含む飲み物をこぼした
データが心配なときは、取り出しを先に相談しましょう
本体よりも、中に保存している写真や仕事の書類が心配という方もいると思います。その場合は、修理を依頼するときに、データの取り出しを優先したいと伝えてください。
本体が起動しなくなっても、データまで失われたとは限りません。データを保存する部品であるHDDやSSDは、基板とは別になっていることが多く、無事であれば取り出して別のパソコンで読み込めます。
なお、薄型のノートパソコンには、SSDが基板に直接取り付けられている機種もあり、こうした機種では取り出し方が変わります。ドライブが暗号化されている場合は、BitLockerの回復キーが必要になることもあります。詳しくは、パソコンのデータ移行・バックアップ・取り出しのページをご覧ください。
普段から外付けHDDやクラウドにデータの控えを取っておくと、こぼしてしまったときも、本体の修理だけを考えれば済みます。
修理に出す前に、こぼしたときの状況をメモしておきましょう
慌てていると、あとから細かいことを思い出しにくくなります。次のことをメモしておくと、点検の際に役立ちます。
- 何をこぼしたか(水、お茶、コーヒー、ジュースなど)
- だいたいの量
- こぼした日時
- そのとき電源が入っていたか、充電中だったか
- こぼしたあとに電源を入れ直したか
- データの取り出しを優先したいか
電源を入れ直したかどうかは、必ず伝えてください。入れ直したかどうかで、重点的に確認する場所が変わります。
お持ちいただくときは、電源を入れないまま、ACアダプターも一緒にご用意ください。本体はビニール袋に密閉するより、タオルでくるむ程度のほうが、中に湿気がこもりにくくなります。
遠方の方は、ヤマト運輸の「パソコン宅急便」を使った配送修理も利用できます。送料は別にかかります。送る前に動作を試さないのは、持ち込みの場合と同じです。
会社で使っているパソコンは、修理に出す前に、社内でパソコンを管理している方へ伝えておきましょう。法人のお客様は、法人・事務所のパソコン修理・保守・訪問サポートのページもご覧ください。
スマートフォンやiPadにこぼした場合も、電源を切って充電しない点は同じです。こちらは当店の店頭でお預かりし、修理はアイケアラボが担当します。
修理の費用は、分解して状態を確かめてからお伝えします
当店では、お預かりしたパソコンを分解し、基板やキーボードの状態を確認したうえで、洗浄と乾燥を行います。どの部品の交換が必要かは、その段階でお伝えします。
費用は、基本料金3,300円に作業費と、必要な場合は部品代を加えた金額です。水濡れで交換になりやすい部品の作業費は、次のとおりです。
| 作業内容 | 作業費 |
|---|---|
| ノートパソコンのキーボード交換 | 5,500円〜 |
| ノートパソコンの液晶パネル交換 | 11,000円〜 |
| マザーボード交換 | 11,000円〜 |
部品代は機種によって差が大きいため、診断後にお見積りをお出しします。見積りの内容に納得いただいてから作業を始め、修理をしない場合にかかるのは基本料金だけです。作業日数はパソコンの状態や部品によって変わるため、お問い合わせください。
水濡れの修理については、パソコンに水・飲み物をこぼした時の対処と修理のページでも案内しています。
古いパソコンで傷みが広い範囲に及んでいる場合は、修理代が買い替えの費用に近づくこともあります。その場合は、修理の金額とあわせて、買い替えも選択肢としてご案内します。判断の考え方は、パソコンは修理と買い替え、どっちが得? 修理店が考える費用の分かれ目をご覧ください。
よくあるご質問
Q. 何日くらい乾かせば、電源を入れてもよいですか?
A. 何日たてば大丈夫という目安はありません。表面が乾いていても、中に水分や汚れが残っていることがあるためです。電源を入れる前に、分解して中を確認するのが確実です。
Q. 水濡れの故障は、メーカー保証で直せますか?
A. 通常のメーカー保証では、水濡れは対象外になっていることがほとんどです。延長保証や動産保険に水濡れの補償が含まれていれば、使える場合があります。契約内容を確認し、書類を手元に用意しておくと判断しやすくなります。
Q. キーボードカバーを付けていれば、こぼしても大丈夫ですか?
A. 少しの量であれば、キーボードの下に染み込むのを防げる場合があります。ただし、カバーの縁から入った水までは防げません。飲み物はパソコンから少し離して置く、ふた付きの容器を使うといった工夫も合わせて行いましょう。
水濡れのパソコンは、電源を入れずに状態の確認からお手伝いします
飲み物をこぼしたときは、保存より先に電源を切り、ACアダプターを抜いて水分を外に出すことが大切です。乾いて見えても電源は入れず、ドライヤーやお米で乾かすのも避けてください。
今は動いていても、中に入った水分や汚れが、あとから故障の原因になる場合があります。こぼした場所や飲み物の種類によっては、早めの点検で修理の範囲を抑えられる可能性があります。
佐世保でパソコンに飲み物をこぼしてしまった方は、PC-FIX SASEBOへご相談ください。分解して中の状態を確認し、修理の内容と費用をご説明します。
